中学生のとき映画「ウォール街」のゴードン・ゲッコーに憧れた少年は、25歳でエンジェル投資家になる決意を固め、会社を創業。ゼロから東証一部上場を果たし、135億円でExitした後 — いま、次の世代の起業家を支援している。
中学生だった宮本邦久は、映画「ウォール街」を観て衝撃を受けた。ゴードン・ゲッコーが自由に世界を動き回り、自分の判断で投資する姿。その映像が心に焼きついた — 自分のお金で、自分の信じる会社に自由に投資できる人間になりたい。
しかし宮本は早い段階で理解していた。自由に投資するには、まず資金と実績が必要だ。25歳、VC子会社で働いていたとき、最短ルートを描いた — 会社を創業し、上場させ、自分のお金で投資する。そこから始まった18年間の旅は、創業、瀕死の危機、再起、IPO、そして135億円のExitを経て、少年時代に描いた生活へとたどり着いた。
商社マンから専業エンジェル投資家まで — 成功だけでなく、成功を形作った失敗も含めたすべての章。
18年間の事業経営を経て、宮本は引退しなかった。25歳から夢見ていたたった一つのこと — 自分のお金で、自分の判断で、自由に投資する道を選んだ。
宮本にとってエンジェル投資は趣味でも副業でもない。少年時代からの夢の到達点だ。創業者として会社の全フェーズを自ら経験してきたからこそ、最も支援を必要としている初期ステージの起業家に、実体験に基づいた価値を届けられる。
しかし、自由だけが目的ではない。宮本は日本のエコシステムに特有の空白を見ている — VCが手を出しにくい、初期段階のハイリスクな案件。ステージが早すぎる、前例がなさすぎる、リスクが高すぎる。機関投資家の資金では対応しきれない領域。
会社の成長フェーズすべてに同じリーダーが必要とは限らない。フェーズによって求められる力は異なる — それでいい、というのが宮本の考え方。
何もない場所から何かを生み出す。創業者にしかできない領域 — ビジョン、確信、混沌の中で形にする力。宮本はここから始めた。売上ゼロからネットマーケティングを創業。
うまくいくものをスケールさせる。PMFは証明された — あとはチーム、仕組み、実行力。宮本はOmiaiを立ち上げから数百万ユーザーへ、そして東証一部上場まで導いた。
巨大なスケールでの運営。求められるスキルもリーダーシップも異なる。宮本はこのフェーズは別の人間が適していると考え、だからこそベインキャピタルへのExitでバトンを渡した。
このフレームワークは理論ではなく、宮本自身の実体験だ。0→1と1→10を自らやり遂げ、10→100は別の人間に託すという選択を意図的に行った。そして今、自分が最も力を発揮できる場所に戻っている — 最も困難な初期フェーズを戦う起業家の支援。
米国では成功した創業者がエンジェル投資家になることは当たり前。日本ではまだ珍しい。宮本はそれを変えたいと考えている。
宮本のビジョンは、自分のポートフォリオにとどまらない。上場企業のCEOが専業エンジェル投資家に転身するという、日本における新しいキャリアモデルを提示したいと考えている。米国ではこの道は確立されている — 会社を創業しExitした起業家が、最も価値のあるアーリーステージ投資家になるのはごく自然なことだ。日本では、そのパイプラインがほとんど存在しない。
宮本のテーゼはシンプルだ。創業からIPO、Exitまでの全過程を経験した創業者は、VCの研修では身につかない知恵を持っている。そうした創業者が自己資金をアーリーステージの会社に投じるとき、彼らがもたらすのは資金だけではない — 実戦で鍛えられた判断力、事業に直結するネットワーク、同じ道を歩んできた者だけが持つ信頼感。
自身の歩み、投資実績、哲学を公にすることで、宮本は他のCEOたちに示したいと考えている。エンジェル投資は実現可能なだけでなく、人生で最も充実した時間になりうるということを。目標は、経営者から投資家への転身が創業者のキャリアの中で最も実りある章になりうると証明することだ。